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共創と障害

 -共創文化の創造へ向けて-

2017年3月21日(火) 10:00 – 17:30
早稲田大学井深記念ホールほか

主催:共創学会設立委員会
共催:早稲田大学理工学術院

 

ご挨拶

共創学会設立委員会・委員長
三輪敬之

 昨今,「共創」は,ものづくり,ことづくり,場づくりの現場においてさまざまな形で実践されています.これは世界に先駆け我が国に発生した社会的現象でもあります.そこには,数多くの深刻化する社会問題を「共創」によって克服したいといった熱い思いや願いが感じられます.しかしその一方で,「共創」とは何かとか,何のためなのかとか訊ねられたりすると言葉に詰まる人も多いことでしょう.これは,「共創」が身体を通じて,各人のあいだに生まれる創出的な知であることに関係しています.このように言語化が困難な共創の新しい知を我が国にとどめおくことなく,世界に発信し続けていくために,私たちは「共創」の国際的な学会を立ち上げる準備をしてまいりました.この度の学会設立記念大会はその一環として企画されたものです.
 本大会の趣旨を一言でいうならば,「支援することから共創することへ」ということになります.誰かが誰かを支援するといった「する,される」の区切られた関係ではなく,「ともになる」といった区切らない関係づくりについて議論を深めるものです.これによって,「共創するファシリテーション」の理論や実践手法,「共創する社会」の設計論,さらには「共創する科学技術」など,近代科学思想を超える新しい世界が開かれることが期待されます.このような視点に立って,「障害」をテーマに,共創するケア,共創する言語,共創するデザインの3つの分科会を設けるとともに,身体で出会い,気づくことの重要性をふまえ,障害のある人たちとともに表現を創りあう身体表現ワークショップを実施いたします.
 一時のイベントに終わることなく,現場から問題を発見し,その解決に向けて,思いをともにして活動し続けていけるような大会になればと,設立委員会委員一同,心より願っています.

 

大会プログラム

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 全体会1:井深記念ホール 10:00 – 11:00 

共創学会の設立に向けて

「共創」という言葉は,我が国のものづくりの現場から生まれ,佐々木正氏(シャープ元副社長)や久米是志氏(本田技研工業元社長),前川正雄氏(前川製作所会長)らによって紹介されました.20年以上も前のことです.さらに,この共創が日本文化における場の思想と深い関係があることを清水博氏(東大名誉教授)は示しました.そして今では,ものづくりのみならず,ことづくり,場づくりなどの現場でさまざまな形で共創が展開されています.海外でも共創はCo-creationとして注目されています.そこで私たちは,共創を我が国発祥の創造的な知として大切に育くみ,世界に広げていくために,ここに学会を立ちあげることにいたしました.100歳を超えられた佐々木正さんからは,「二人三脚で走りませう」との温かいメッセージもいただいています.

 

講演①「共創する知の拠点として」

#設立委員会・委員長 三輪敬之(早稲田大学創造理工学部機械工学科 教授・共創学)
長年にわたり,場の働きを取り込んだ共創の科学技術に関する研究を展開してきました.東日本大震災以降,被災地での居場所づくりを通じて,学会の創設が必要不可欠であることを確信しました.

 

講演②「無際限さと外部の推移がつくる二重の身体」

#設立委員会・副委員長 郡司ペギオ幸夫(早稲田大学基幹理工学部表現工学科 教授・理論生命科学)
外部・他者は,多くの場合,悪いもの,雑音,ゆらぎとされる.その積極的意義を具体的に開示し,生命・意識の個物化過程を解読するという野心を持つ.

 

ワークショップ:第1〜第3会議室 11:00 ー 12:00
(午後の分科会でのワークショップにご参加ください)

共創表現ワークショップ

このワークショップでは,障害のある人を含む多様な人々が,身体表現「てあわせ」を行います.ファシリテータは,脳性麻痺や骨形成不全症で車いすを使用する人や発達障害等で発話の困難な人です.それぞれに異なる心身の交流からどのような表現が生まれるのか,ズレや摩擦を抱えながら,参加者相互が刺激し合い促し合う「共創するファシリテーション」の体感を目指します.

 

企画・ファシリテータ

#西 洋子(東洋英和女学院大学 教授・身体表現論)
子どもの身体表現や精神科入院病棟での実践を行っています.1998年からは地域社会での共創表現として,NPO法人「みんなのダンスフィールド」を展開しています.

 

長谷部(国府田)はるか(茨城女子短期大学 講師・身体表現論)#
ダンスカンパニー「H・アール・カオス」等の舞台に多く出演.全国の幼稚園,保育園,子ども園にて身体表現ワークショップを行っています

 

NPO法人「みんなのダンスフィールド」#
年齢や性別,経験の差や障害の有無等を超える身体での共創表現を目指し1998年に設立.国内外でのパフォーマンスやワークショップを積極的に実施しています.

 

#石巻/東松島「てあわせ」ワークショップ
東日本大震災以降,身体での共創表現「てあわせ」ワークショップを4年間継続しています.メンバーは,自閉症等の発達障害児・者とその家族,教育・福祉関係者,一般市民です.

 

分科会1:第2会議室 13:00ー16:00

共創するケア

健常者,障害児者,高齢者の誰もが幸せに過ごすことができる社会を実現するため,「共に生きていく場を創る」という「共創」の立場を作っていくことが大切であろう.そこで,本文科会では,ラウンドテーブル,講演を通じて,現場における「共創」とは何か,どのようにすれば可能なのか,そもそも必要なのか,介護施設など現場での取り組み,事例を通して,共創の概念について議論します.

 

企画・ファシリテータ

#三輪洋靖(産業技術総合研究所 主任研究員・サービス工学)
介護サービスにおけるスタッフの動きや業務,高齢者との関わり方等,サービスプロセスの可視化や業務支援に関する研究に取り組んでいます.

 

#笹井一人(東北大学 助教・複雑系科学)
生命の自己言及やフレーム問題といった矛盾に帰着しない性質を数理的に解明し,経済・社会・工学の問題を解決する研究に取り組んでいます.

 

 ラウンドテーブル 話題提供とディスカッション 13:00 – 14:00 

話題①「地域にねざしたケアの実現に向けて -人的資本の継承と社会関連資本の重要性-」

#野口晴子(早稲田大学政治経済学術院 教授・医療経済学)
2012年より早稲田大学政治経済学術院教授.医療経済学,応用ミクロ計量経済学,社会保障論を専門としています.

 

話題②「場に生きる -あなたと私の出会えるところ-」

#佐々木里奈 (社会福祉法人悠和会銀河の里 支援員)
2011年以降,宮城県石巻市や岩手県大船渡市のNPO法人にて事業の立上げ・運営を担当.現在,社会福祉法人悠和会にて企画開発や支援員をしています.

 

話題③「『現場で活きる研究成果』実現のためには? -研究と実際の現場とのニーズの違いをヒントに-」

#押山千秋(グループホーム阿佐ヶ谷 代表・大阪大学大学院 博士後期課程)音楽療法や発達障害児への支援プログラムに関する研究をしながら,グループホームの代表として高齢者ケアを実践しています.

 

 講演とディスカッション 14:00 – 16:00 

司会コーディネータ

#浜田利満(筑波学院大学 教授・ロボット・セラピー)
1999年に大学へ転じて以来,ロボットの存在が高齢者とのコミュニケーションの場の創成をファシリテートする,ロボット・セラピーの研究をしています.

 

講演①「共に生きる認知症ケア」

#土井輝子(グループホームてらど ホーム長・京都工芸繊維大学大学院 博士後期課程)グループホームの施設長として,認知症ケアを通じて,高齢者に寄り添うケアを実践しています.

 

講演②「うまくゆく時・ゆかぬ時 -この修正と関係の修正-」

#西平直(京都大学教育学研究科 教授・教育人間学・死生学・哲学)
死や誕生,人生選択,稽古や修行,老年期の意味など,収拾のつかない問題と格闘し続けています.

 

講演③「ケアの現場を見える化する」

三輪洋靖(産業技術総合研究所 主任研究員・サービス工学)
本分科会,企画・ファシリテータ

 

 分科会テーマ2:第3会議室 13:00 – 16:00 

共創する言語

私たちは他者とのやりとりにおいて,社会のインフラである言語,および,非言語,身体を用いた明在的・暗在的コミュニケーションを行い,意味を伝えあっています.本分科会では,障害のある人を含む多様な人々が,コミュニケーションを通じて,居場所を創り,心を耕し,居心地のよい場を共創するさまを言語,非言語,身体性という人間行動の基本的側面から考え,議論します.

 

企画・ファシリテータ

#井出祥子(日本女子大学 名誉教授・比較語用論・社会言語学・場の言語学)学問を既存の枠組みから解放する国際プロジェクト‘Emancipatory Pragmatics’(解放的語用論)を展開しています.

 

#植野貴志子(東京都市大学 講師・語用論・場の言語学)
日英語自然発話データの対照分析を通じて,日本人の言語使用の論理を探究するとともに,「場の理論」を言語使用の解釈に応用する試みを行っています.

 

 ラウンドテーブル 話題提供とディスカッション 

話題①「道を伝える表裏・現 -歴史的身体のはたらきを伝える言語情報を探る」

#永田鎮也 (日本光電工業㈱荻野記念研究所新事業推進室 室長・薬学)
創薬,医療機器,超音速旅客機の研究開発に従事しながら,産業界における場と共創の実践活動を行っています.場の研究所理事,関西柳生会初代会長.

 

話題②「場がつくりだすことば -近代を超える場所的思考-」

#大塚正之(弁護士・場の言語・コミュニケーション研究会 代表)
『場所の哲学―存在と場所』(文芸社)などを通じ,場を基盤とする近代を超える哲学を提示し,場の言語学,臨床法学の確立を目指しています.

 

 講演とディスカッション 14:00 – 16:00 

司会コーディネータ

小川健一朗(東京工業大学情報理工学院 助教・理論物理学)#
生物個体の主体的観点から認知的ロバスト性の機構を数理モデル化する研究,および,対面コミュニケーションネットワークの実験的研究を行っています.

 

講演①「交働する身体から境界の撹乱へ」

#菅原和孝(京都大学 名誉教授・人類学)
アフリカ狩猟採集民の社会で,身体性,談話,動物認識の研究を続けてきました.国内では,発話と身ぶりの協働,民俗芸能の継承にも関心を寄せています.

 

対談①「表現から共創へ -ことば・身体を通じたコミュニケーション-」

#佐藤夏希(NPO法人「みんなのダンスフィールド」 コーディネータ・社会福祉士)
脳性麻痺の障害による不随意運動があり,自分の意思と反した身体の動きや言語障害をもつ.自身の特徴や体験をいかしながら表現活動を続けています.

植野貴志子(東京都市大学 講師・語用論・場の言語学)
本分科会,企画・ファシリテータ

 

講演②「縛ることば・繋ぐことば -<平和の道具としてのことば>に向けて-」

井出祥子(日本女子大学 名誉教授・比較語用論・社会言語学・場の言語学)
本分科会,企画・ファシリテータ

 

 分科会3:第1会議室 13:00 – 16:00 

共創するデザイン

アイデアを提案する人,そのアイデアを発展させる人,カタチに仕上げるデザイナー,実際にモノをつくるエンジニア,それを望む人.このような様々な状況にある人々が,一緒になってモノをつくりあげるサービスが広がり始めている.このようなアプローチは,多様なニーズを有するユーザ向けモノつくりの新たな手法として社会的に期待されており,本大会のテーマである「共創と障害」という観点から,その可能性について議論する.

 

企画・ファシリテータ

#上杉繁(早稲田大学理工学術院 教授・人間デザイン工学)
道具の身体化現象や道具使用による能力開発・拡張,身心の特性を活用した体験デザイン等,経験を拡げるためのインタフェースデザインに関心があります.

 

#山本知仁(金沢工業大学 教授・コミュニケーション工学)
人のコミュニケーションメカニズムの解明に関する研究や高臨場感を提供するポータブルなディスプレイシステムの開発に取り組んでいます.

 

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山口友之(筑波大学システム情報系 助教・ヒューマンインタフェース,ロボティクス)
身体性音響メディアインタフェースの研究を行い,ヒトの表現を軸に,ヒトとヒトとの共創、ヒトと環境との共創、自分との共創について考えています.

 

 ラウンドテーブル 話題提供とディスカッション 13:00 – 14:00 

話題①「ものづくりの共創オープンイノベーションプラットフォームWemakeでの実践

#山田歩(株式会社A 代表取締役,https://www.wemake.jp/)
生活者コミュニティが本当に欲しい商品をメーカー企業と共創し商品化するサービスWemake(ウィーメイク)での共創事例をご紹介します.

 

話題②「福祉機器開発におけるユーザ参加の意義」

#硯川潤(国立障害者リハビリテーションセンター研究所 福祉機器開発室長)
福祉機器をデザインする過程に,そのユーザである障害当事者が主体的に関与することの意義を,これまでのデザインワークショップの事例にもとづき紹介します.

 

コメンテータ

##加藤芳史・木津石生(NPO法人「みんなのダンスフィールド」 スタッフ・車いすユーザ)

 

 講演とディスカッション 14:00 – 16:00 

司会コーディネータ

山本知仁(金沢工業大学 教授・コミュニケーション工学)

山口友之(筑波大学システム情報系 助教・ヒューマンインタフェース,ロボティクス)
本分科会,企画・ファシリテータ

 

講演①「共創システムとしての IoT に向けて」

#三宅美博(東京工業大学 教授・共創システム論)クラウドコンピューティングからエッジヘビーへ,そして「場」へ.われわれはインターネットを共創の「場」として再生します.

 

講演②「ぷれジョブという取り組み」

#西幸代(全国ぷれジョブ連絡協議会 代表世話人)関わる各人の時間軸・空間軸に馴染むように,8年間をかけて進行する「風景化」というアプローチを使い,共創社会を目指す「ぷれジョブ」(障害のある子どもの職場体験)をご紹介します.

 

講演③「可能性を拡げるデザイン」

上杉繁(早稲田大学理工学術院 教授・人間デザイン工学)
本分科会,企画・ファシリテータ

 

 全体会2:井深記念ホール 16:00 – 17:30 

全体討議

司会
永田鎮也(日本光電工業㈱ 荻野記念研究所 新事業推進室 室長)

 

分科会報告

第1分科会
三輪洋靖(産業技術総合研究所 主任研究員・サービス工学)
笹井一人(東北大学 助教・複雑系科学)

第2分科会
井出祥子(日本女子大学名誉 教授・比較語用論・社会言語学・場の言語学)
植野貴志子(東京都市大学 講師・語用論・場の言語学)

第3分科会
上杉繁(早稲田大学理工学術院 教授・ヒューマンインタフェース工学,インタラクションデザイン)
山本知仁(金沢工業大学工学部情報工学科 教授・ヒューマンインタフェース,ヒューマンコミュニケーション)
山口知之(筑波大学システム情報系 助教・ヒューマンインタフェース,ロボティクス)

 

参加申し込み方法

1.事前申し込みされる方は、Web上から簡単に申し込みができる①【お申し込みフォーム】をご利用いただくか、参加申込書を以下よりダウンロードして、必要事項をご記入のうえ、学会事務局まで、E-mail:info@nihon-kyousou.jp、またはFAX:03-3200-2809にてお申し込みください。
当日の受付は混雑が予想されますため、受付がスムーズに行えるよう、できるだけ事前にお申し込みいただきますよう、お願い申し上げます。
また、当日申し込みの場合、参加費が500円加算されますため、ぜひ事前申し込みをご利用ください。
参加費についての詳細は、参加費の項目をご覧ください。
申し込み期限は2017年3月10日(金)とさせていただきます。

【お申込みフォーム】はこちら

【参加申込書ダウンロード】はこちら

2.お申し込みは完了となります。
数日以内に、登録されたメールアドレス宛に送信される受付完了メールをご確認ください。

参加費

ご参加の内容にあわせて、下記の料金(参加費・懇親会費)をご用意ください。

事前申し込みをされた方は、参加費・懇親会費を2017年3月10日(金)までに以下の口座にお振込みください。

■ゆうちょ銀行からお振込みの場合
記号:10180
番号:74065081
加入者名:日本共創学会設立委員会

■ゆうちょ銀行以外の金融機関からお振込みの場合
銀行名:ゆうちょ銀行
店名:〇一八 (ゼロイチハチ)
店番:018
預金種目:普通
口座番号:7406508
口座名:日本共創学会設立委員会 (ニホンキョウソウガッカイセツリツイインカイ)

当日申し込みの方は、設立記念大会当日2017年3月21日(火)に会場受付にてお支払いいただきますよう、お願い申し上げます。
当日申し込みの場合の参加費は以下の通りです。事前申し込みの料金に、それぞれ500円が加算されます

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申込期限

事前申し込み期限は、
2017年3月10日(金)
とさせていただきます。

上記締切日までに ①【お申し込みフォーム】 ②E-mail ③FAX いずれかの方法のよるお申し込みが確認できない場合は、当日お申し込み参加費(事前申し込み金額に500円を加算)とさせていただきます。

 

その他のご案内

本大会では、昼食(お弁当)のご用意がありません。
また、会場のホール内にはレストランはございませんので、昼食をご持参ください。
昼食時間は1時間となっておりますので、ご注意ください。
18:00~の懇親会では、軽食とお飲み物をご用意しております。

 

お申し込み・お問い合わせ先

日本共創学会設立委員会事務局
〒169-8555
東京都新宿区大久保3-4-1 早稲田大学西早稲田キャンパス59号館319号室 三輪研究室内
Tel 03-5286-3263
Fax 03-3200-2809
E-mail info@nihon-kyousou.jp